お庭のお地蔵様たち
当寺の庭には古くから伝わる古風なお地蔵様だけでなく、個性あふれる可愛いお地蔵様もたくさん佇んでいます。 座禅をするもの、頬寄せ合ったもの、万歳したもの、頬杖ついたもの、膝を抱えて座ったもの、どれも愛嬌があり見ていると自然と優しい気持ちになることができます。
多羅葉と思うつぼ
玄関前には一本の木と一つの壺があります。木の名は「多羅葉(たらよう)」。そして壺の名は「思うつぼ」。
多羅葉はその葉の裏面をなぞると黒く変色し長く残ることから、昔は紙と筆のかわりに使われていたそうで、江戸時代には字の書けない人々が和尚さんに代筆を頼み、それを飛脚が運んだという記録も残っています。
これが「葉書(はがき)」の語源とも言われていますが、それを実際に体験していただき、楽しんでいただこうと設けたのがこの壺です。 ただ字を書くのではなく、せっかくだからお願いごとを書いてこの壺に入れてみれば、願いが叶って思うつぼ!ということになるかもしれません。
当寺住職の遊び心を楽しんでいただけましたら幸いです。
十六羅漢像と羅漢堂
境内には文政5年(1822年)に建立された羅漢堂があり、鞆町の多くの信者より寄進された十六羅漢像(安政5年・1858年)が安置されています。
また当寺には奥の座敷にもうひとつの羅漢像として水墨画の十六羅漢屏風絵がございます。作者は鞆在住の門田勝人さん。平成七年頃に描いていただきました。
○△□(まるさんかくしかく)
禅の思想において「○△□」といえば江戸期の禅僧「仙厓和尚(せんがいおしょう)」が残された書(参照:出光美術館HP) が有名です。
この○△□にはどういった意味があるのか?「○は宇宙そのもので絶対的な心理である」とか「それぞれに真理・座禅・邪念の意味がある」とか様々な説がありますが、実際には見る人によってそれぞれに様々な解釈が許されるもので、これが正しいという唯一無二の答えはありません。
実は、この○△□が当寺の庭に隠されているのですが、庭を訪れてそれに気づかれる方はまずいらっしゃいません。なぜなら、それは上から見ないとわからないからです。
現住職が仙厓和尚の書に倣い、禅の思想を組み込んで庭師さんと共に仕上げた庭を是非一度直接ご覧になってみてください。